レコードの再生に自作アームを使いはじめて久しく、ずっと「RS-A1もどき」を長い間使っていました。銘器とされているタイプの異なる数種類のアームと比べたこともありますが、少なくとも自分のところでは自作の方が圧倒的に良かったです。良さの大部分は回転ヘッドシェルでは無いかと思います。
もう1年以上前になると思います、
私のところに糸釣りアームを持参された方がおりその音を聴かせて頂いたことがあります。
重量タイプの非常にゴツイものでした。キレが良いというのか傷の部分を経過する際、全く後を引かずシュパッと言った感じの音が印象的でした。いつか作ろうと思っていましたが、ガラクタ箱の中からLencoのプレーヤーに元々付いていたアームの錘を発見しました。円柱で中心からずれたところに穴が通っています。
ホームセンターで、バルサ材と桧材の太さの違う何種類かの丸棒を買い、上の写真のようなアームを2時間ぐらいで作りました。
音を出してびっくりしました。静かで、細かい音を実によく拾います。
丸棒に穴を開け、太い棒の穴に細い棒を差し込みプリンターの替えインクに付いてきた手回しドリルで糸釣り用の細い穴を開けました。糸の固定は、はじめは爪楊枝を使いましたが焼き鳥用の竹串のほうが使いやすいことが分かりました。
回転ヘッドシェルは重いほうがいいようなので、大昔に初めて回転ヘッドシェルを試作した際の部品を集めて作りました。重量バランスが狂ったので、アルミテープでシャフト径を太らせ固定の錘を追加しました。
釣り糸はステン線を使っています。ホームセンターではステンの細線がなく、100円ショップのザルをばらして使っています。
ここまでで終わるつもりでした。
偶然から「耐震マット」なるものをターンテーブルのシートに使っています。
どこのホームセンターにもあると思います。防災コーナーなどにある主に青色の粘着するグニャーとしたあれです。
3個でも5個でも7個でもまたそれ以上でもレコードが落ち着く程度貼り付け、レコードを乗せ聴いてみてください。
写真では気分で楮紙を貼り付けましたが、粘着防止のブラスチック板を貼り付けたままがいいと思います。
5日間連続運転中です。悪いところはまだ見つかっていません。
アーム以上かもしれません。
簡単です。せひ。
糸吊りアームの自作までは出来ませんでしたが、私もアーム本体を木製にしてみたことがありました。
使わなくなったアームのアルミパイプを切って作ったのですが、黒檀の箸を使ってみたり、桐の棒にニスを染み込ませたり、固くする方向でしか試しませんでした。バルサのような柔らかいものを使えば、共振を防げるので、その方向にすれば良かったのかと思いました。
そのとき、いろいろやって最も効果があったのは、シェルと重りに「スタビライザー」をつけることでした。
振動したものを吸収するのではなく、はじめから余計な振動をさせないほうが良いわけで、軸受けの強度を増すよりも、重量で抑え込むのがよいと思います。しかし、重くしすぎるとだめなので、シェルの両側に3cm程度のボルトを付けます。重りにも同じようにボルトを付けます。ボルトを長めにすることで、小さな質量でねじれを抑えることができます。アーチェリーのスタビライザーと同じ原理です。
これで、細かな音を拾うとともに、音の揺れがなくなりました。プレイヤーもイコライザアンプも処分してしまったので、もう試せないのが残念です。
Jiroさん こんばんは
このアームは「回転ヘッドシェル」の使用を前提で作りました。回転ヘッドシェルの理論的説明はむずかしすぎて出来ませんが、直感的には「カートリッジの動的な原点の確保」ではないかと思っています。トーンアームに取り付けたカートリッジは、大きな振り子に小さな振り子を更に付けたような形状になっています。一般のアームでは、本来は音溝の中心線上にあるべきカンチレバーの支点がのたうち回っているようにみえて仕方ありません。針先から強大な力で引っ張っていますから変位自体は大きくないかもしれませんが音を変える程度の影響はありそうです。回転ヘッドシェルを使って感じるのは、カートリッジを変えても音質の変化が少なくなることです。また一般のアームに回転ヘッドシェルをつけるとアームの差がほとんど無くなります。アーム本体の構造・材質の影響も一般のアームより少なくなるようです。回転軸の初動感度・ガタの影響が大きく、またシェル部分の質量も関係します。
アーム本体のねじれ方向の制御は糸釣りなどの一点支持タイプのアームでは泣きどころです。詳しくは説明しませんが、写真をご覧になればそれなりの対策は……。
シェル部分のねじれはガタと大きな関連があり、回転軸の長さを15cmまで伸ばしたことがあります。現在は軸を柔らかい素材に突き刺す形で受けることによりガタを最小にして安定させています。初動感度は少し落ちますが、使い込むと触感上のガタがなく軽く回転するようになり、写真の程度の軸長でも長いのと聴感上差が分かりません。
シェルの質量は、振動系の基準になりますからある程度必要です。回転ヘッドシェルを新たに作る場合、厚手のアルミ板でシェル本体を作り、現在は前だけのバランス用の錘を3方向に出せるようにネジ穴を左右方向にも開ける予定でした。結果的に振動の制御になると思いますが、あくまでも回転軸の初動感度の向上が目的です。